報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

タクシン前首相、マンC買収の意味

2007年09月11日 21時36分40秒 | ■時事・評論
イギリスで「亡命生活」をしているタクシン前首相は、7月にイギリスのプレミアリーグ所属のチーム、マンチェスター・シティ(マンC)を約200億円で買収した(株式の75%を取得)。

タクシン氏は首相時代の2004年にも、プレミアリーグのリバプールの買収に意欲をみせた。しかし、買収資金の一部を公金(宝くじの収益)で賄おうとしたため、タイ国民を呆れさせた。英国メディアも外国人によるチーム買収に批判的であり、結局話は流れた。今回のマンC買収で、またもタイ国民を呆れさせたが、英国民や英国メディアからの拒絶反応はなく、買収は成立した。

そうした中で、国際人権擁護団体は一貫して、タクシン氏によるサッカー・チーム買収に異議を唱えてきた。ニューヨークに本部を置く人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は、タクシン前首相によるマンC買収に異議を申し立て、プレミアリーグに対して再考するよう促がした。

HRWは、タクシン前首相による人権侵害を告発し続けており、「最も悪質な人権侵害者」と表現している。そのような人物を、国際的人気のあるサッカーリーグの「適格者審査」にパスさせるべきではない、と主張した。

HRWによるタクシン前首相告発の内容は以下の三つに要約される。

・2003年のタクシン政権下での「対麻薬戦争」において、始めの3カ月間で2,275人が殺害された。タクシン前首相はこの不法な殺害の指揮を取っていた。
・タイ南部での反乱抑圧にあらゆる手段を使うよう、タイ軍に命じた。
・タイのメディアに対して弾圧をおこなった。

特定の犯罪の取締りにおいて、三ヶ月間で2000人以上もの容疑者が死亡するというのは異常だ。公権力による「処刑」であったと指摘されるのも当然だろう。たとえ麻薬ビジネスにかかわったとしても、裁判を受ける権利を剥奪され、その場で処刑されていいことにはならない。しかも、その中には無実の人々も含まれているとHRWは伝えている。この残忍な「対麻薬戦争」という名の虐殺を指揮統括していたのが、タクシン前首相だ。この2000人の死の真相と責任の所在は明らかにされなければならない。アムネスティ・インターナショナルも、HRWと多くの点で意見を共有している。

プレミアリーグは世界で最も古い歴史を持ち、現在、世界で数億人(ウィキによると10億人)が視聴している人気リーグだ。そのリーグに所属するチームを所有するということは、非常に特殊な名誉であると言える。金さえ払えば誰でも買えるというものではなく、選ばれた者だけに与えられえる栄誉だ。

HRWの告発に対して、プレミアリーグは「厳格な”適格者審査”をパスしており、何の問題もない」と一顧だにしていない。「リーグの”適格者審査”の規定は、いかなる会社法の規定よりもすぐれており、イギリスのいかなる産業のそれと比べても厳格である」と。

プレミアリーグは世界の数億人に対して、タクシン前首相は「潔白」であると宣言したも同然なのだ。重大犯罪の嫌疑のかかっている人物には、あまりにも不適切な判断だと言える。有罪になるまでは無罪だが、無罪が証明されるまでは特別な栄誉は保留されるべきだ。誰も抗議しなければ、その罪を不問にしてしまう惧れさえある。HRWはそのことを危惧している。

しかし不可解なのは、イメージに敏感であるはずのスポーツ団体が、HRWの主張を一顧だにしていないことだ。世界で数億人が視聴するリーグであれば、なおさらである。本来なら「虐殺、人権侵害、言論弾圧」という重大な嫌疑がかかっている人物を参加させるはずがない。もし後に有罪になれば、リーグのイメージを著しく損なうことになる。にもかかわらず、プレミアリーグは、自信をもってタクシン前首相を迎え入れた。まるでプレミアリーグは、タクシン前首相が決して有罪にはならない、ということを知っているかのようだ。

そもそもタクシン前首相を取り巻く状況は、一スポーツ団体の判断のレベルを超えているように思う。それをいとも簡単に結論を下したということは、別なところからお墨付きを得ているとしか思えない。もっと高度な政治的レベルで、すでに判断は下されており、プレミアリーグはその判断に従っただけなのだろう。適格者審査も形だけのものだったに違いない。

タクシン前首相は失脚直後から、世界のメディアによって、「軍事政権と戦う、民主主義の擁護者」として扱われている。プレミアリーグ同様、世界のメディアにとっても、何をどう報じるべきかは、あらかじめ別のレベルで決定されている。世界の主要メディアが、判で押したように同じ報道しかしないのはそのためだ。独自の判断はメディアには与えられていない。

たとえば世界のメディアは、ベネズエラのチャベス大統領や東ティモールのマリ・アルカテリ前首相、そしてタイ暫定政府は民主主義を踏みにじる「悪」としてしか描かない。逆に、チャベスを攻撃するRCTV(ベネズエラのTV局)やマリ・アルカテリを引き摺り下ろしたシャナナ・グスマン(現東ティモール首相)、そしてタクシン前首相は民主主義のために戦う「善」としてしか描かない。そこから逸脱した報道など見たことがない。

要するに先進国の利益に忠実な代表者は国際社会で厚遇され、国民の利益を少しでも守ろうとした代表者は徹底的に攻撃される。そういうことだ。

象徴的な事例は、スハルト元インドネシア大統領だろう。彼は、1998年までの30年間インドネシアの元首として君臨していた。その間に彼が築いた資産は推定1兆8千億円。ファミリー全体では8兆円とも。そのスハルト氏はいま何をしているだろうか。彼は被告の身だ。ただし、高齢と病気を理由に公判は停止されている。30年間君臨した大富豪のスハルト元大統領は、なぜ被告席にいるのだろうか。汚職や不正蓄財といった罪状は茶番だ。

スハルト元大統領は、先進国の忠実な利益代表者だった。だからこそ30年間も君臨できた。しかし、アジア通貨危機の最中の1998年に暴動が発生すると、何の策もとらずたったの一週間であっさりと辞任した。

1997年にはじまったアジア通貨経済危機に際して、スハルト大統領はIMFの融資を受け容れた。しかし、ワシントンやIMFが強要する理不尽な経済政策の履行を突っぱねた。大規模暴動が発生したのはその数ヵ月後だ。この暴動はワシントンとIMFからの「返礼」であった。そのことを悟り、スハルトは辞任した。辞任しなければおそらく命はなかっただろう。もともと国民からは愛想をつかされおり、そうなっても誰も気にしなかったに違いない。

先進国の利益代表者であり続ける限りにおいて、絶対的地位を保障される。しかし、たとえ30年間忠実であったとしても、一度でも逆らえば、一瞬にして被告の身に落ちる。スハルト元大統領は見せしめであり、裏切りの罪は死ぬまで許されないだろう。

スハルト元大統領の長期政権に比べると、タクシン前首相の在任期間はほんの5年ほどだ。したがって、その貢献度はたいして大きくはなかったはずだ。にもかかわらずタクシン前首相は、国際社会の最も目立つ位置で厚遇されている。アンチ軍政の象徴として、世界の数億人にアピールすることの効果が期待されているのだ。

逆に言えば、現在タイで進行していることは、先進国の利益を侵害する重大事件だということだ。タイ一国の利権はそれほど大きくはないだろう。しかし、アジア全体となると話は違う。もしタイが外国企業や外国資本を大幅に規制すれば、通貨危機以前のような経済成長をするだろう。そうなれば、他のアジア諸国にも外資規制が伝播するだろう。

通貨危機以前のアジアは、外資と関係なく成長し続けていた。「タイガー・エコノミー」「世界経済の成長センター」などと絶賛されていた。そこに外資が割り込んで、アジア経済を破壊し、乗っ取ったのだ。もともとアジアには外資など必要なかった。

もしタイが外資規制に成功し経済成長すると、アジア諸国は次々と外資規制をするかもしれない。先進国の企業や金融資本にとっては恐怖のドミノ倒しだ。先例を作ることは命取りなのだ。なんとしてでもタイの試みを叩き潰そうとする。

ただし、スハルト政権に対するような、強引な手段はタイでは使えない。スハルト政権は国民から疎まれていたので、手っ取り早い手段が使えた。しかし、タイの暫定政府は国王から承認されている。国王の判断を批判するタイ国民はいない。したがって、暫定政府に対する攻撃は遠回りな持久戦を展開するしかない。その中でも、バーツ高は大きな効果を発揮し、暫定政府の支持率は確実に低下している。

こうした流れのなかで、反軍政の象徴であるタクシン前首相には、破格の特別待遇が与えられた。マンCの買収は、広告塔としての役目だけでなく、忠誠心への褒美であり、あらゆる犯罪行為に対する免罪符でもある。





HRW concerned about Thaksin’s ownership in Premier League Team,
Manchester City
http://hrw.org/english/docs/2007/07/31/thaila16544.htm
Amnesty International
Thailand: Memorandum on Human Rights Concerns
http://web.amnesty.org/library/index/engasa390132004
A fit and proper Premiership? BBC Sport
http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/football/teams/m/man_city/6918718.stm
権利擁護団体、タクシン前首相の対麻薬政策を批判
http://www.janjan.jp/world/0708/0708221146/1.php
タイ首相のリバプールの株取得で英のファン猛反発
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200405121130193
英国サッカーチーム買収資金の出所調査
http://www.bangkokshuho.com/news.aspx?articleid=3231
新しい考え + 新しい行動 = 新時代の汚職
http://homepage3.nifty.com/jean/Papers/Old/2404_06/240511-20.html
米団体、「タクシン氏はマンCのオーナーに不適切」
http://72.14.235.104/search?q=cache:4LVAwSaOm7kJ:news.goo.ne.jp/article/reuters/sports/JAPAN-271746.html+%E3%82%BF%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%80%80%E3%83%92%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%84%E3%80%80%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%83%E3%83%81&hl=ja&ct=clnk&cd=3
タイ資産調査委、タクシン前首相ら一族の銀行口座を凍結
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2M1101O%2011062007&g=G1&d=20070611


「麻薬撲滅戦争 - より厳しく」
http://homepage3.nifty.com/jean/Papers/Old/2301_03/230301-10.html
麻薬戦争による死亡者に関する調査特別委員会を設置
http://thaina.seesaa.net/article/51418960.html
タイ検察タクシン前首相を起訴
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/asia/58243/
タイ前首相夫妻に2件目の逮捕状、証取法違反容疑
http://www.newsclip.be/news/2007903_015082.html
タイ:人権弁護士「失踪」とタクシンのつながり
http://www.janjan.jp/world/0611/0611164829/1.php
資金洗浄容疑でタクシン前首相を告発か 2007/08/31
http://www.bangkokshuho.com/news.aspx?articleid=3253
タクシン夫人の土地疑惑でプリディヤトンを被告側証人として請求
http://fps01.plala.or.jp/~searevie/new_page_2.htm#


タクシンの言論弾圧
http://www7.plala.or.jp/seareview/newpage24genron.html
タイ報道界が首相に「全面戦争」布告 言論の自由守ると挑戦状
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200510291120406
タイ新聞各紙、言論の弾圧に反発(2005 07 22)
http://www.janjan.jp/world/0507/0507280115/1.php
タイで辛口のトーク番組を突然打ち切り 地元メディアは猛反発
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200510031434301


RCTVとベネズエラにおける言論の自由
http://agrotous.seesaa.net/article/44475747.html
クーデターに加担 問われるメディア 放送免許更新めぐり論争
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-02-07/2007020706_01_0.html


タイ: 憲法改正国民投票

2007年08月21日 14時37分30秒 | ■時事・評論
19日、タイでは憲法改正を問う国民投票が実施された。
即日開票され、賛成が反対を上回った。
最終的な結果は、
賛成57.81%、
反対42.19%、
投票率57.61%。

”かろうじて”、暫定政権の方針は支持されたと言える。ひとまず国民から信任を得たことにはなるのだが、投票率が60%以下と低いため、全国民的支持とは言い難い。

バーツ高に対して有効な手段を打てず、倒産や失業によってタイ経済が混迷したことが最大の原因と言える。バーツ高は、確実に暫定政権のボディに効いている。今後も暫定政権を揺さぶる有効な手段として使われるだろう。

憲法改正に反対する運動を展開してきたUDD(反軍政共闘)は、国民投票での敗北を認め、活動の中止を表明した。今後は、年末に行なわれる総選挙に向けて体勢の立て直しをはかるだろう。総選挙後、暫定政権は権限を民政に移管して、その役目を終える。暫定政権の役目とは、過度な急成長政策を改め、また外国資本を規制し、その政策を民政に引き継ぐことであると僕は見ている。

暫定政権がこれまでに打ち出してきた外国資本の規制や法整備に対して、タイ国内の外国人商工団体などが強く反発している。EUはWTOへの提訴も検討している。これらが表の意思表示であるなら、バーツ高は裏の意思表示と言えるだろう。

これ以上バーツ高が進むと年末の総選挙の結果に大きな影響を与えることになる。そのため暫定政権としては、これ以上強硬な外国資本の規制には挑めないのかもしれない。本格的な外国資本の規制は、総選挙後の民政に委ねるのが得策と言える。しかし、旧タイ愛国党が選挙で多数になればそれも不可能になる。暫定政権はいま大きなジレンマの中にあるように思う。

16日、アジア市場で、株式と通貨が軒並み下落した。
”「円キャリー取引」の解消で、欧米の資金がアジアから流出しているもよう”、”世界的なカネあまりを背景に過大評価されていたアジア株・通貨の調整が始まったという見方もある”、というのがメディアの解説だ。まるで必然的な出来事が起こったかのような書き方だが、「もよう」とか「見方もある」とか、実際はメディアは何が起こっているのかを理解してはいない。

はっきりしているのは、欧米の都合でアジアの株式や通貨は、いいように翻弄されているということだ。それによって儲けるのが誰であるかは常に決まっている。金融の自由化は、アジアに何ももたらしてこなかった。外国資本を規制しなければ、同じことを繰り返すだけだ。自由化ではなく、規制化が必要なのだ。タイ暫定政権は、それを試みようとしているのだ。しかし、その道は容易ではない。




王宮前広場では、反軍政共闘によって頻繁に集会が行なわれた。
ステージが常設され、屋台街まで出現するほど大勢のメンバーが常駐した。

































国民投票で敗北が決まると、反軍政共闘はすぐに常設ステージや音響、証明、テントなどを撤去した。


新憲法案承認も反対票4割超 タイ国民投票
http://www.asahi.com/international/update/0819/TKY200708190160.html
タイ、巨大与党の出現を阻止 新憲法1次草案
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/asia/48535/
首相、ブリラムの一部村内で国民投票の票買収が行われている
http://thaina.seesaa.net/
タイ東北部で新憲法国民投票に200バーツで反対票を入れるよう画策?
http://fps01.plala.or.jp/~searevie/new_page_9.htm#146.
株式・通貨 軒並み下落 リスク回避アジアに波及
http://www3.ocn.ne.jp/~tji/sub9s0708.htm
外資代理投資 規制を撤回 暫定政権 外国企業反発に配慮
http://www3.ocn.ne.jp/~tji/sub9s0708.htm

タイ: 効果のないバーツ高対策

2007年08月10日 22時24分36秒 | ■時事・評論
タイのバーツ高が進んでいる。
現在、バンコクの為替取引所で1ドルが33バーツ台となっている。
4月から6月にかけては34バーツ台が続いていたのだが、ツーリスト・シーズンに入ったとたん狙いすましたようにバーツ高が進行しはじめた。

バーツ高による企業倒産や廃業も発生し、タイ経済界には不安感が充満している。暫定政権は「人望」はあるのだが、経済運営能力は疑問視されている。暫定政権のバーツ高抑制政策がまったく効果がないからだ。

短期資本の規制(のち撤回)、金利下げ、財政政策などのバーツ高対策を打ち出してきたが、7月には新たに「外貨保有規制を緩和」する政策を打ち出した。しかし、これも効果は期待できない。バーツ高の原因を探らなければ真の対策はできない。

タイの貿易黒字や海外からの投機的マネーの流入といった要素が本当にバーツの高騰を引き起こしているのだろうか。それらはバーツ高の要素ではあるが、主因とは思えない。他のアジア諸国の為替も2006年はじめから上昇しはじめているが、そのころはバーツはほぼ歩調を合わせるような動きでしかなかった。しかし、2006年9月に政変が起こり、2007年に入った途端バーツだけが急速に上昇した。

現在のタイは、欧米社会が非難するところの”クーデター”によって誕生した軍事政権下にある。それだけでなく(日本ではほとんど報道されていないが)南部の三県では頻繁に爆弾事件や襲撃事件が発生している。約3年間で2000人以上の死者が出ている。残忍な斬首事件も30件をこえている。公務員、教員、仏僧などが主に狙われている。教員には武装許可もでており、射撃訓練も行なわれている。また、道路わきに仕掛けられたIED(簡易爆弾)によってタイ軍の車両が何度も攻撃され、死者を出している。このような攻撃方法が用いられているのは、他にイラクとアフガニスタンくらいだ。タイはそれくらい異常な状況下にあるのだ。

そのような「不安定国」の通貨が高値を更新し続けているのは、とても不可解だ。海外からの投機的マネーの流入だけでこのような通貨高が起こるとは思えない。たとえ、そこに意図的な作為が働いているとしても、それだけで「不安定国」の通貨を高値に維持し続けられるだろうか。

かつて日本も円高を経験し、苦しんだ。95年には1ドルが79.85円という驚異的な円高を記録した。翌96年に「金融ビックバン」という金融の規制緩和が行なわれた。この円高、超円高は日本の金融市場を外国資本に開放させるために仕組まれたものだったと考えられている。では、あの超円高は一体どのようにして引き起こされたのだろうか。

大蔵省が大規模な市場介入を日銀に要請した95年1月を振り返ってみよう。大蔵省は少なくとも4カ月続けてドル買いに毎月200億ドルを投じるよう日銀に要請した。円相場は95年1月に1ドル=101円で始まったが、4カ月と経たないうちに過去最高の1ドル=79.75円に上昇した。史上最大の外為市場への介入は意図とは反対の結果をもたらしたのである。
(中略)
日銀は大蔵省の要請通り米国債を購入しているが、そのために必要な円を創出してこなかった。そのかわり、日銀は国内市場で日本国債など他の資産を売却しており、ドルを買うために国内経済から円を吸い上げたのである。これは不胎化と呼ばれる。円の総量は増えないため、円安にはならない。不胎化された外為市場の介入は、効果が長続きしないまま継続された。95年3月、日銀が過去最大の市場介入を過度に不胎化し、経済システムから資金量を純減させ、(中略)大蔵省の円安誘導政策を事実上妨害した。円安誘導を目指した大蔵省の必死の試みにもかかわらず、95年4月に円相場が1ドル=80円まで上昇したのはこのためである。
(中略)
大蔵省は日銀が長年にわたって為替政策を愚弄してきたことにそろそろ気付いても良い頃である。大蔵省は効果のない外為市場への介入にエネルギーを費やすのを止めて、日銀がなぜ政策を妨害することができたのか調査すべきである。日銀が円相場を1ドル=80円に押し上げた95年には旧日銀法が施行されており、その第1条で、日銀は政府の打ち出す政策を支持しなくてはならないと明記されていたのである。
週刊エコノミスト 平成11年7月13日号
リチャード・A・ヴェルナー

http://www.profitresearch.co.jp/j/articles/economist_j/a_econ_july98j.htm

日本の円高の事例を参考にすると、現在のタイでも同じことが起こっている可能性が高い。短期資本規制や金利下げ、財政政策がなんの効果もないのはこのためだろう。外貨保有を解禁しても結果は同じことだ。タイの中央銀行が国内経済からバーツを回収していると考えられる。軍事暫定政権をゆさぶるために意図的にタイ経済にダメージを与えているのだ。1997年のアジア通貨経済危機の時も、タイの中央銀行はタイ経済を破壊する仕事に協力しているようだ。

1990年代初め、韓国、タイ、インドネシアの中央銀行が80年代の日本銀行と同じ政策をとりはじめた。法律にはない銀行貸出「指導」を活用して、銀行に不動産投機への過剰な投資をおこなわせた。中央銀行が割高な為替レートを維持して、国内金利を外国より高めに設定したために、投機家には外国からの借入れへのインセンティブが与えられた。記録的な額のドルがこの地域に流れ込み、資産バブルの火に油を注いで、事態はいっそう危険をはらんだ。1997年、投資家が撤退した。同時に中央銀行は民間銀行に信用創造の制限を強制した。バブルははじけた。

迅速に変動為替相場制に移行するかわりに、中央銀行は相当額の外貨準備を無駄に費やした。中央銀行がさらに信用創造を抑制し、危機は不況へとつながった。支援を求められた国際通貨基金は、経済構造と国法の大幅な変革を要求した。その目標は、アジア経済を改革してアメリカ流の自由市場を採り入れたがっている中央銀行と同じだった。さらに彼らは法的独立の達成も望んだ。中央銀行法が改正されると、中央銀行はただちに通貨供給を増加させて、危機を終息させた。
『円の支配者』リチャード・A・ヴェルナー著

IMFは被援助国の中央銀行を法的に「独立」させ、そして国家の管理から離れた中央銀行をIMFの支配下に置く。以後、IMFが中央銀行を自在に操れるのだ。通貨政策は中央銀行が行ない、政府に対しては説明責任を持たない。つまり、当該国政府は法律を改正しない限り、以後永遠に独自の通貨政策ができなくなるのだ。

第三世界と東欧の中央銀行は、大部分がパリ・クラブ(債権国会議)とロンドン・クラブ(民間債権団)の代理者といえるIMFの統制圏に入っている。
(中略)
このような事態が示唆する点は、各国の中央銀行がこれ以上生産促進や雇用創出のような、その国の広範な利益を目標として、通貨発行を調節することができなくなった、ということである。
(中略)
ロシア連邦の場合、IMFが国営企業に対する中央銀行の与信発給を規制することを要求した措置は、一九九二年以来ロシア経済の全部門が瓦解し始めた時と直結している。
『貧困の世界化』ミシェル・チョスドフスキー著

タイの暫定政府の通貨経済政策は、財務相、副首相兼工業相、そして中央銀行総裁が協議して決定している。しかし、タイ中央銀行が暫定政府の見えないところで、バーツを減少させているとすれば、どのような政策も無意味といえる。これこそがバーツ高の主因なのではないのか。海外からの投機的マネーはダミーなのかもしれない。

いまや暫定政権の支持率は急降下し、信任を失いつつある。日本の大蔵省も日本銀行の行動をついに見破れず、バブルとその崩壊、その後の長期的不況の全ての責任を負わされて、消滅した。

タイ暫定政権は、中央銀行が繰り出す小手先の通貨政策などにごまかされず、中央銀行から通貨政策の権限を取り戻すべきだ。このままでは、暫定政権がすべての責任を負わされて、消滅するしかない。



タイ政府がバーツ高抑制策を発表、外貨保有規制の緩和など
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-27031220070724
バーツ高対策、個人のドル口座解禁か
http://www.newsclip.be/news/2007719_012521.html
タイの外国人事業法改正案、強硬論に押され撤回
http://www.newsclip.be/news/2007809_014481.html
タイ財閥系靴メーカー、バーツ高で廃業
http://www.newsclip.be/news/2007801_014304.html
タイ財務相と中銀総裁、バーツ高について協議へ
http://news.goo.ne.jp/article/reuters/business/JAPAN-268574.html?C=S
タリサ・ワタナケート中央銀行総裁 略歴
http://www.geocities.jp/noby_thai/biographical_dictionary/tarisa_watanagase.html
効果のない日銀の為替市場介入
(記事・論文の閲覧には無料登録が必要)
http://www.profitresearch.co.jp/j/index.shtml
http://www.profitresearch.co.jp/j/articles/economist_j/a_econ_july98j.htm
『円の支配者』リチャード・A・ヴェルナー著
http://www.amazon.co.jp/
『貧困の世界化』ミシェル・チョスドフスキー著
http://www.amazon.co.jp/

プロテスター

2007年07月07日 18時38分18秒 | ■時事・評論






























「今日は雨に水を差されたが、われわれは来週また戻ってくる」

そう言い残して反軍政デモは豪雨の中、陸軍司令部前で解散した。
そして約束どおり次の日曜もデモ隊は司令部前に戻ってきた。
ただし、規模は約6000から約1000に減っていた。
最大で2万人規模のデモも行なわれたようだが。

デモを見物するバンコク市民は意外と少ない。
後日、タイ人の知人には必ずデモについて訊ねた。
「デモ参加者は、タクシンから日当をもらってるのさ」
「日当300バーツと食事飲料つきで、バスに乗って地方からやってくる」
というのが総合的な認識だ。
「地方のあるタクシー会社は、ドライバーを動員している」
という話もあった。

「タクシン前首相がタイに帰ってくるという話もあるが」
と訊くと、
「とんでもない、ごめんだね」
とみなが顔をゆがめて応えた。
タクシン前首相がポケットマネーでマンチェスター・シティ(イギリスのプロサッカーチーム)を買収することもタクシン氏への反感を増幅しているようだ。自分のお金だから何を買おうが自由ではあるが、タイミングとしては最悪と言える。

タクシン前首相に対するこうした拒絶反応は都市部と富裕層にその傾向が強い。タクシン政権の急成長・巨大プロジェクト政策はタイの国内資本にはそれほど恩恵を与えていなかったからだろう。

タクシン前首相は、汚職と腐敗にまみれていた。それによって首相の座を追われたことになっているが、それはたてまえ上の理由にすぎない。いま、タクシン氏がアメリカやヨーロッパ、中国で歓迎されているのは、彼が大金持ちだからという理由ではなく、そうした国々の利益を代表していた人物だったからだろう。イギリスのサッカーチームを所有できるのは、そのご褒美であり、この機会を逃したくなかったのかもしれない。

前タクシン政権は都市部と富裕層の支持は期待できなかった。そのため地方での支持基盤を磐石にする必要があり、地方部に対する手厚い政策を行なった。貧困層への低利貸付や30バーツ(約100円)医療を実施した。日本の真似をしたのか一村一品運動も行った。眉目を引く政策を実施することによって、地方の景況感期待感を押し上げ圧倒的支持につなげることに成功した。

しかし、タクシン政権下の地方政策は、さまざまな弊害を引き起こしていた。特に30バーツ医療によって、医療施設に人が殺到し、医療の質の低下を引き起こした。地方から医師が逃げ出しているとも聞く。結局のところ、人気取りのための場当たり的な政策だったと言える。

いまでも地方部でのタクシン氏の人気は絶大と言ってよい。
日曜の反軍政デモは、当分のあいだ恒例となるのかもしれない。


訂正とお詫び

2007年06月05日 09時20分04秒 | ■時事・評論
2006年4月の記事『最強の傭兵部隊・IMF、世界銀行』の文中に不正確な表記がありましたので、訂正とともにお詫びいたします。
記事中に、
「たいていの場合、コンディショナリティによって融資金を農業生産に使用することを禁じられていた。ただし、外国から食料を購入することはできる。その際の購入先もたいてい指定されている。つまり、食料不足はアメリカの農業製品で補えということだ」
という表記をしていましたが、IMFのコンディショナリティに、そのような禁止事項が盛り込まれることはありません。上記の表記は明らかな誤記であり、謹んでお詫び申し上げます。

ただ、IMFや世界銀行がそうした意図をもって政策を遂行していることは間違いありません。しかし、”食糧生産に金を使うな””アメリカの食糧を買え”というようなあからさまな命令をすることはありません。にもかかわらず、結果的にはそうせざるを得ない事態に途上国は陥ります。マラウィでは、「国内の一方の端から他方の端まで(食糧を)輸送するよりも、カンサスから船で運ぶほうが安上がりになっている」という、にわかには信じがたい事態が発生していました。国際食糧政策研究所はその原因を、IMFと世界銀行がマラウィに命じた政策にあると報告しています。
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/headline/agri0208.htm
http://www.irinnews.org/report.aspx?reportid=33255

IMFや世界銀行の政策によって、農業生産が阻害され、その結果欧米のアグリビジネスが巨大な利益を得てきたという報告は多々あります。

 これまで、IMF・世銀は、貿易障壁、国内で生産される食料品への補助金、地方の農業振興プログラムなどの撤廃を融資の条件にしてきた。
 北の先進国に対しては、そのような条件を付けて来なかった。さらに、WTOの農業協定は、北の先進国が生産コスト以下の安い価格で余剰農産物を途上国にダンピングし、巨大多国籍農産物輸出企業の市場拡大を許してきた。
 その結果、途上国では産業の要である農業部門が壊滅的打撃を受けた。
http://www.eco-link.org/jubilee/dn336.htm

南半球は、農業協定によって一定の裁量権を認められているにもかかわらず、国際通貨基金(IMF)や世界銀行から強要された関税引き下げを追い風とする北半球からのダンピング輸出にさらされることになった。それが彼らにもたらしたものは、農業貿易の赤字の増大である。
http://www.diplo.jp/articles03/0309-4.html

IMFと世界銀行は、自給自足の地域型農業システムの商業的かつ市場依存型の生産、流通システムへの移行を義務付ける政策をとっている。
その上、現在の輸出作物偏重は、土や水、大気、種の多様性、人間と動物の健康を脅かすような有害で費用のかかる化学物質投入への依存を高めるとともに、北に拠点を置く大手アグリビジネスと化学企業の利益を増やすように作用している。我々の農業を守るためには、世界銀行とIMFも食糧と農業から排除しなければならない。
http://www1m.mesh.ne.jp/~apec-ngo/wto/wto04/viacampesina.htm
IMFや世界銀行の政策の意図は歴然としています。IMF・世界銀行は、自由化や民営化、規制緩和という欧米のスタンダードを一様に適用することで、当該国の国内経済と国民生活に多大な不利益をもたらし、逆に欧米の多国籍企業や金融資本へは莫大な利益をもたらしてきました。IMFと世界銀行は、欧米の大企業や金融資本の利益代表者と考えて間違いありません。したがって、両機関の採る政策には、そうした意図が隠されています。「世界の通貨の安定」や「貧困の撲滅」というお題目は隠れみのにすぎません。もし、本当にこのお題目が実行・達成されれば、欧米の多国籍企業や金融資本は利益の機会を失うでしょう。

IMFや世界銀行に対しては、改革論から廃止論まで、すでにさまざまな意見が存在しています。IMF・世銀は国連の専門機関ですが、国連大学の世界開発経済研究所は、「第二次世界大戦の終結時に創設された世界銀行と国際通貨基金(IMF)が、政治的にも経済的にもすでに時代遅れになった機構のままで現在も運営されており、・・・外部から変化を強要されるまえに、機構刷新の必要がある」と報告しています。また、「これらの機関の改革ではなく、役目を終えた国連信託統治理事会に代えて、世界環境機関や世界社会機関を創設し、IMF、世界銀行、WTO に対抗すべきだ」というような提案もあるようです。
http://www.unu.edu/HQ/japanese/ar01-jp/ar7.pdf
http://mitizane.ll.chiba-u.jp/metadb/up/ReCPAcoe/uemura.pdf

しかし、IMFや世界銀行の改革や廃止は非現実的と言えます。両機関は弱体化しはじめているというものの、多国籍企業や国際金融資本にとっては、まだまだなくてはならない利用価値の高い機関のはずです。廃止も改革も念頭にないことは明らかです。見せかけの改革をおこなってごまかそうとはするかも知れませんが。

両機関の影響力を無力化する最も有効な方法は、ベネズエラのチャベス大統領のように、きっぱりと脱退を宣言することです。もしくは決して融資など受けないことです。そしてそうした動きは実際にはじまっています。

パキスタン、ウクライナなども、IMFと手を切りたいと思い始めている。セルビアはすでにIMFの融資を断っている。
南アフリカなどは、はっきりと世銀からの融資は受けないと宣言している。

ガーナは、IMFの「貧困削減成長基金(PRGF)」から脱退することを宣言した。PRGFは貧困国に対する無利子の融資基金だが、厳しい条件がついている。
 また、ザンビア大統領は予算についての新年のメッセージで、IMFが要求した主食をはじめとした農産物、上下水道、国内交通、蚊帳、書籍、新聞などに対する17.5%の付加価値税の再導入を拒否すると発表した。
IMF離れの傾向は、これに留まらなかった。最近大統領選に勝利したニカラグア、エクアドルもIMFとの決別を宣言している。

途上国では、IMFと世銀の威力は著しく後退している。その正当性を失っている。
すでにエクアドルのコレア大統領は、世銀代表を国外に追放した。そして、エクアドルはすでに債務を返済していると述べた。

http://www.jca.apc.org/~kitazawa/undercurrent/2006/
collapse_of_neo_liberalism_2006.htm

http://www.jca.apc.org/~kitazawa/debtnet/2007/vol6_1.htm
http://www.jca.apc.org/~kitazawa/debtnet/2007/vol6_6.htm
こうした動きがどんどん加速すれば、事実上IMFや世界銀行を葬り去ることができるでしょう。IMFと世界銀行から脱退し、スタッフには国から退去してもらえばいいのです。改革も廃止も必要なく、いままでどおり両機関が存在しても何の問題もありません。

IMF・世界銀行の政策によって、豊富な資源を有する国の国民が貧困にあえいできました。資源や原料は格安の値段で先進国に供給され、先進国企業は、この安い資源と労働力によって可能になった大量生産・大量消費・大量廃棄のサイクルがもたらす莫大な利益を享受しています。同時に先進国で余剰生産された工業製品や農産物が途上国の市場を席巻しています。途上国が飢えと貧困にあえぐことによって、いまの先進国の快適で便利な生活がなりたっています。

IMFや世界銀行がもたらしている貧困と飢えによって、世界何十億という人々が、何世代にもわたって苦しみ続けます。貧困の破壊力、殺傷力に匹敵するのは核兵器だけでしょう。あるいは、核兵器もおよばないかもしれません。

なすべきことはただひとつ、一刻も早くIMF・世界銀行と手を切ることです。






※カテゴリー「IMF&世界銀行」は今回の不備を機に、一端閉じてリニューアルいたします。ただ、現在取り組んでいることを優先しますので、いつできあがるかは、今のところわかりません。より充実した内容を目指したいと思いますので、ご理解ください。ご迷惑をおかけすることを重ねてお詫びいたします。
※貴重な指摘をいただいたカリキュラスさんへ厚くお礼申し上げます。



IMF・世銀・WTOがジュネーブで政策協調会議/第11回国連持続可能な開発委員会(CSD)の報告
http://www.eco-link.org/jubilee/dn336.htm

カンクン後の農業に関する声明
http://www1m.mesh.ne.jp/~apec-ngo/wto/wto04/viacampesina.htm

世界の自滅的な農業政策
http://www.diplo.jp/articles03/0309-4.html

世界飢餓にまつわる12の神話
http://journeytoforever.org/jp/foodfirst/report/hunger/12myths.html

Trade and Food Sovereignty (貿易と食糧主権)
http://hideyukihirakawa.com/GMO/ngoreport.html

マラウィ:農業改革が食糧安全保障を損ねる
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/headline/agri0208.htm

MALAWI:Agriculture Reforms Hurt Food Security
http://www.irinnews.org/report.aspx?reportid=33255

食糧主権に関する世界フォーラム最終宣言
http://www1m.mesh.ne.jp/~apec-ngo/wto/wto04/FOOD%20SOVEREIGNTY_cuba.htm

国連大学 食糧・栄養ネットワーク
http://www.unu.edu/HQ/japanese/ar01-jp/ar7.pdf

グローバルな持続可能な福祉社会へのプロレゴメナ
http://mitizane.ll.chiba-u.jp/metadb/up/ReCPAcoe/uemura.pdf

途上国はIMF・世銀・WTOから脱退し、新国際機関を創立せよ
http://www.jca.apc.org/~kitazawa/undercurrent/2006/
new_institution_for_developing_countries_2006.htm


「IMFは嫌われ者」
http://www.jca.apc.org/~kitazawa/debtnet/2007/vol6_1.htm

「ベネズエラがIMFと世銀から脱退宣言」
http://www.jca.apc.org/~kitazawa/debtnet/2007/vol6_6.htm

「ネオリベラリズムとネオコンの破綻」(3.IMF、世銀、WTOの機能低下)
http://www.jca.apc.org/~kitazawa/undercurrent/2006/collapse_of_neo_liberalism_2006.htm